松阪中央総合病院 長谷川 大輔 先生

私は平成18年に東京医科大学を卒業し、そのまま母校の大学病院で初期研修医となりました。2年間の初期研修の終わりが見えてきた頃、自分の進路を決めかねていた私は「何か他の医師とは違った技能を身につけたい、ひと味違った医師になりたい」と考えるようになっていました。そんな折に、初期研修後の進路として放射線科を考える機会がありました。

学生の頃は画像診断といえば「CTやMRIの読影は解剖も熟知していなければ難しいし、撮影の原理なんかもよく分からない・・・」と敬遠しがちなところもありました。しかしご承知の通り、現在の医療において治療方針の決定や評価に関して欠かす事の出来ない重要なピースのひとつです。私自身、研修医として現場で患者さんの治療に携わるようになり、画像診断が現代医療においていかに大きな比重を占める領域であるかという事を知る事となりました。

また放射線科というと「読影・画像診断」の印象を強く持っていたものですが、その他にも画像診断を活かして癌の低侵襲治療や救急の止血術などを行える「IVR(インターベンショナル・ラジオロジー)」という領域がある事を知ったのも、私にとって大きな転機になりました。
「画像診断という技能に加えて、自分の手で患者さんの治療も出来る!しかも他とひと味違う低侵襲治療!」
これだ!これしかない!と思いました(笑)
こうして、あの日の私は放射線科医としての道を歩み始めたのでした。

そして今、私が放射線科医になってそろそろ10年が経とうとしています。この間にも画像診断の領域では新たな機器や技術の開発が飛躍的に進み、これまでにない短時間で高画質の医療画像が撮影できるようになりました。勿論これらの技術進歩についていくだけの研鑽を私たちも積み続けなくてはならないのですが、「技術の進歩によって今まで見えなかった世界が見えてくる楽しさ」は他ではなかなか味わえない放射線科の醍醐味であろうかと思います。

またIVRの守備範囲も広範囲に及びます。手前味噌で恐縮ですが、腹部腫瘍に対するカテーテル治療や経皮的生検術、外傷などによる出血に対する緊急の止血術など、IVRの技術は他科の先生方からとても頼りにして頂いており、自分の手で診断から治療までを完遂する事だって出来るようになります。救急の出血症例のカテーテル塞栓をする場面では外科的処置に耐えられない状態の患者さんの治療を託される場合もあり、「自分がこの患者さんにとっての最後の砦なのだ!」と気合を入れて治療に臨んでいます。

私たち放射線科医が主治医として患者さんの治療の主役になる場面はそう多くはないかもしれません。ましてや患者さんからして見れば「放射線科って?お医者さんなの?技師さんなの?」というような感じではないでしょうか。(実際、結婚して8年になる私の妻の祖母は未だに私の事を放射線技師さんだと思っているようです(笑)。)

しかし、放射線科は「Doctor’s doctor」とも言われるように、色々な症例に関して「診断はどうでしょうか?もっとクリアに診断できる他の画像診断法はない?IVRで何か出来る治療はない?」とコンサルトを下さる多彩な臨床科の先生方とコラボレーションする事で、領域横断的に患者さんの診断・治療に関わる事が出来る、そんな可能性を持った分野であろうと思います。

現代の医療において画像診断の重要性は高まり、現場では日々たくさんの医療画像が撮影されていますが、全国的に放射線科医の数は充足しているとは言い難い状況です。言い換えるならば、その世界に飛び込めば、自分の興味とやる気次第であらゆる道を選ぶ余地があるという事です。自分の興味のある分野の画像診断やIVRの技術を深く突き詰めていくspecialistを目指すのもよいでしょう。広い分野に精通する画像のgeneralistを目指すのもよいでしょう。そのいずれもが、三重県の医療、ひいては日本の医療に求められています。

三重県では三重大学放射線医学教室が中心となり、県内の主要な病院の放射線科と密に連携を取りながら放射線診療と研究・教育を行っています。大学での高度な研究、地域病院での幅広い放射線診療のいずれも経験できる環境が整っています。忙しい事は間違いないですが、その分得られるスキルや充実感は大きいものであると確信を持ってお勧めします。

今まで画像診断に関する興味や知識が無かった、という方に、少しでもこの世界の面白さが伝われば幸いです。そして、放射線科の世界に興味がある・やってみたいという学生さん・初期研修医の先生方を、私たちはいつでもお待ちしております。

 

 

JA三重厚生連 松阪中央総合病院 放射線科
長谷川 大輔

資格
日本医学放射線学会放射線診断専門医
日本医学放射線学会認定研修指導者
日本核医学会核医学専門医
日本IVR学会 会員
日本核医学会PET核医学認定医
検診マンモグラフィ読影認定医
肺がんCT検診認定医師
三重大学附属病院/MMC合同指導医養成講習会修了者

経歴
2006.03        東京医科大学 卒業
2006.04~2008.03   東京医科大学病院 初期臨床研修医
2008.04~2012.03 東京医科大学放射線医学教室 医員
2012.04~2012.08  東京医科大学八王子医療センター放射線科 助教
2012.09~2012.12   三重大学放射線医学教室 画像診断科 医員
2013.01~             JA三重厚生連 松阪中央総合病院 放射線科