三重大学医学部附属病院 川本 英嗣先生

指導医が医学生や研修医にどれだけ自分の専門科の「やりがい」や「良いロールモデル」を提示できたかが、その後の医学生や研修医の進路に最も影響を与えているという研究結果があります。ここでは将来皆さんにぜひ救急医になってもらいたいので、実際に私がどのように救急医のやりがいを知り、ロールモデルと出会ったのか、お話ししたいと思います。

私は平成16年に富山大学を卒業しました。当時はすべての科をローテートするスーパーローテート研修が始まったばかりで、私も含めて多くの医学生は大学で研修を行わず、まず市中病院にでて、臨床を学ぼうとする医学生が多かったように思います。私は生まれが三重県津市でしたので、東海地方の市中病院に複数応募し、マッチングで名古屋にある中部ろうさい病院で働くことになりました。そこでは1ヶ月に数回の当直があり1回の当直で10~20名くらいの軽症から中等症のwalk in 患者および、救急車で運ばれる重症患者(AAA rupture、AMI、脳梗塞など)を見ました。中部ろうさい病院は救急の初期対応を1,2年目の初期研修医で行い、必要に応じて3年目以上の後期研修医、各科専門医にコンサルトするシステムになっていました。下手なコンサルトをすると専門医や先輩にこっぴどく怒られるので当時は救急は大嫌いでした。
ある日、滅多に来ない交通外傷による出血性ショック・重症多発外傷患者がERに運ばれてきました。もちろん初期研修医の私はどうしたら良いかわからず右往左往していましたが、そんな混乱した現場にさっと現れて気管挿管して胸腔ドレーンを入れ、外科医と共に手術室に患者を運んでいったのが麻酔科医(私のロールモデルとなった医師)でした。そんな先輩麻酔科医をみて自分も同じように救急に対応できるような麻酔科医なりたいと考え、私は救急・麻酔専門医を目指しました。私の麻酔科研修は充実していたと思います。毎日心から尊敬する1つ上の先輩と一緒に話ができ「やりがい」について教えてもらえましたし、その先輩は私にどのような麻酔科医になるべきかロールモデルも提示してくれました。私の初期研修を一言で現すなら優秀な指導者に恵まれたことだと思います。ただし、最初にあこがれた多発外傷、出血性ショックを恐れずに対応できる救急・麻酔科医師になるためには、3次対応の必要な重症患者数を多く受け入れる、いわゆる大学のような3次救命センターで臨床を学びたいと考え、数年間の麻酔科研修ののち、聖マリアンナ医科大学救命救急センターで多発外傷の研修を受けることにしました。日々外傷患者の対応に追われ、病院で寝泊まりしていたある日、三重大学の教授に新たに赴任された今井教授が講演のため聖マリアンナ医科大学に来院し、お話しをさせていただく機会を得ました。そこで私が三重県出身だと話すと「ぜひ一緒に三重で救急をやらないか、そして救急の研究もしたら良い」とお話しをいただき、現在は臨床研究医を目指して三重大学救命救急センターで日々精進しています。
私は麻酔・集中治療・救急を専門とする医師ですが、まさに過去の研究結果が示すように私の進路を決めたのは良いロールモデルの先生に出会えたのがきっかけであり、その後の成長も優秀な医師らに支えられたと確信しています。
皆さんはどこで研修したら良いのか悩んでいると思います。実は研修先は大学でも市中病院でも何処でも良いのです(もちろん都会でも田舎でもそんなことは重要ではありません)。重要なのは職場で自分の尊敬できるロールモデルの医師を早く見つけることです。そのような医師を見つけることができれば、皆さんの医師としての進路は直ぐに決定されますし、目標が明確化されるために素晴らしい医師になるのも早いでしょう。
私は三重大学で働いて数年経ちますが、三重大学そして三重の市中病院にはそのような優れた指導医がたくさんいることを知っています。ぜひ三重で唯一無二の指導医と出会って下さい。

ご紹介(敬称略)

川本英嗣 M.D., Ph.D.
日本救急医学会 専門医
日本麻酔科学会 指導医
現在、今井教授と島岡教授の立ち上げた三重大学地域災害医療リーダー育成センターにて、臨床研究医を目指して研究に取り組んでいます。

http://www.medic.mie-u.ac.jp/molpath/ps/index.html

ご経歴
2004.04~2006.03 中部ろうさい病院 初期臨床研修医
2006.04~2009.06 中部ろうさい病院 麻酔科・集中治療 医員
2009.07~2012.03 聖マリアンナ医科大学 救急医学 助教
2012.04~ 三重大学医学部附属病院  救命救急センター 助教
2013.05~ 三重大学災害救急医療・高度教育研究センター 研究員 (併任)
2016.12~ 三重大学地域災害医療リーダー育成センター 副センター長(併任)

事務局より
Mプロで、先生の指導を受けた研修医さんからも
「川本先生にあたたかく指導をしてもらいました。やってみる?と、
新しい挑戦もさせてもらったんですよー」( ´¬`)ノ
っと感想を頂いております。
皆さん、先生の懐に飛び込んで、たくさん指導してもらって
実りある研修を重ねてくださいねー。