三重大学医学部附属病院 成島 三長 先生

研修先を悩まれている皆さんへ

試験勉強に部活にプライベートに忙しい医学部学生生活。研修先を決めなくてはと重い腰を上げたものの…どこに見学に行くか?同じ診療科でも病院によってカラーが違いそう!見学に行ったらそこで決まってしまうのか?!…気づいたらX月、焦っている方もいるかもしれません。そんな皆さんに、お話します。
実は私も悩んでいました!医学部6年が終わる間際まで。そんなとき三重大学の耳鼻科の先生が相談にのってくれて、まだ初期研修プログラムの無かった三重大学医学部附属病院で耳鼻科と麻酔科を半年ずつ研修させていただいたのち、さらに、済生会松阪総合病院で外科・内科・整形外科を中心に婦人科・口腔外科・脳神経外科などをたった一人の研修医として自分で組ませていただいたプログラムで幅広く一年間研修させていただきました。今思えばこの状況は図らずも今のMMCを先取りした初期研修となっておりました。
この初期研修で幅広い知識と多くの手技を学び、進むべきか悩んでいた形成外科医師への道を歩むため、東京大学医学部形成外科に入局しました。入局後は福島県立医科大学で形成外科の大学病院らしい高度な治療を研修し、また名古屋の第一赤十字病院では救急を含めた形成外科医としての基礎を学びました。その後は東京大学医学部附属病院で、0.5㎜以下という非常に細い脈管を吻合するスーパーマイクロサージャリー技術を習得し、さらなる医療の発展のため神経の即時機能再建を目指してイカの巨大軸索を使った研究を進めておりました。
そして2017年4月。三重大学医学部附属病院に形成外科学講座が新設され、縁あって三重大学に形成外科医として戻ることができました。形成外科は“カタチと機能を取り戻すため”に、固定概念にとらわれず最新の技術や知識を駆使して最良の治療を追求するとても先進的な分野です。常に新しいアイディアを考え続ける必要があり、その基盤として初期研修で学んだ様々な科での幅広い知識と経験が今生かされていると感じています。私自身が違った科の多くの先生に教えていただいたことを、今度はみなさんに同じように持てる知識と技術をお伝えしたいと思っています。どの科に進むかは関係ありません。大丈夫です。
どんな科に進むべきか悩んでいるみなさん!三重MMCではどこの病院でも各病院単位ではなく三重全体ですべての科の情熱を持ったスーパーエキスパートがあなたの未来をサポートしてくれます。まずは三重MMCであなたの医師としての基盤を固めて世界に打って出てはいかがでしょうか?扉はすぐそこです。待っています!。

経歴
2001年 5月9日三重大学医学部耳鼻咽喉科研修医
2002年 4月1日済生会松阪総合病院 研修医
2003年 4月1日福島県立医科大学 形成外科 医員
2004年 4月1日名古屋第一赤十字病院 形成外科 医員
2005年 4月1日東京大学医学部附属病院 形成外科 医員
2007年 4月1日東京大学医学部附属病院 形成外科 助教
2013年 3月1日東京大学医学部附属病院 形成外科 特任講師
2015年11月1日東京大学医学部感覚・運動機能医学講座 形成外科学 講師
2017年4月1日より現職

所属学会
日本形成外科学会(専門医試験作成委員)
日本血管腫血管奇形学会(理事 事務局長)、
日本末梢神経学会(評議員)
日本マイクロサージャリー学会(評議員)
日本オンコプラスティックサージャリー学会 日本手外科学会
日本神経科学学会 日本創傷外科学会  日本リンパ学会
日本静脈学会 日本顔面神経学会 日本形成外科手術手技学会  日本シュミレーション学会
日本抗加齢医学会 日本再生医療学会
Fellow of American College of Surgeons (FACS)
European conference on supermicrosurgery (Faculty)
World Society of Reconstructive Microsurgery (International Faculty)

 

トルコでのライブサージャリー

 

海外形成外科医による学生講義

 

国際イカ学会2015ワークショップでの実演

 

顕微鏡4台による下肢リンパ浮腫治療

 

三重大学医学部附属病院 伊藤貴康 先生

「少数派と習慣化」

全国の医学生さん、研修医の先生方、こんにちは!
三重大学医学部附属病院 臨床研修・キャリア支援センターの伊藤貴康です。
医学生のみなさんの永遠の悩み、それは「どの病院で初期研修をするか?」だと思います。現在、所属している部署はその名の通り、大学で初期研修をサポートする部署です。ここまでの道のりを経て、僕が達した結論は、「真っ白なキャンバスに自分はどんな自分を描きたいか?」です。三重大学は、人気がある研修病院とは言えませんが(笑)、専門性の高い症例、重症の症例を学術的に研修できる病院です。90%以上の患者さんは、Common Diseaseと言われる疾患で診ることができます。その残りの10%未満の患者さんと出会ったとき、鑑別診断から治療まで診ることのできる研修病院は日本全国にもそうたくさんあるものではありません。ちなみに、投資の世界にはこんな格言があります。「人の行く裏に道あり花の山」。この言葉は、人はとかく群集心理で動きがちであるが、それでは大きな成功は得られない、むしろ他人と反対のことをやったほうがうまくいく場合が多いと説いているのです。周りの風評に踊らされず、自分の目で見て、耳で話を聞いて、肌で感じて研修先を決めましょう。そして、3年目以降、独り立ちするときに、幅広い鑑別診断と重症患者の管理ができる、そんな医師を目指して三重大学で研修しませんか?
研修医の先生方、他病院の同期と自分を比べて焦ったり、不安に思ったりしていませんか?これに対する結論は「自分の選んだ道を信じて、日々基本に忠実に診療・研修しましょう。」です。基本に忠実に継続すること、これほど実力が伸びることはありません。僕から見て、世界で最も成功している日本人の1人、イチロー選手はただひたすら基本を繰り返しています。「継続」こそが、自分の実力を伸ばす王道です。言うのは簡単ですよね、ではどうやって継続するのか?これはもう、習慣化する以外にないと思います。イチロー選手はルーティンという言葉を使っていますが、これをしないと気持ち悪い、というくらいにまで習慣化しましょう。
最後に、私が最も尊敬する中日ドラゴンズ元監督 落合博満氏からのエピソードを紹介して終わりにします。53年ぶりの日本一を決めた特番で、小学生から落合監督にこんな質問がありました。「どうしたらホームランをたくさん打てますか?」こういうとき、あまり真剣に答えなかったり、リップサービスする野球選手が多くいますが、落合監督はこう答えました。「人よりたくさん打ちたいなら、人が100回素振りするなら、自分は1回でも2回でも多くその人より素振りしなさい。」たとえ小学生であっても、真剣に返答するプロフェッショナルの姿を見た気がします。私は、プロフェッショナル意識を持った医師を育成するために、日々、三重大学医学部附属病院 臨床研修・キャリア支援センターでがんばっています。

 

主な資格
日本内科学会 総合内科専門医、日本腎臓学会 腎臓専門医、日本急性血液浄化学会 臨床指導者、
日本救急医学会認定ICLSディレクター、日本内科学会認定JMECCディレクター、Infection Control Doctor、臨床研修指導医

略歴
2007年 三重大学医学部附属病院 卒後臨床研修部 初期研修医
2009年 三重大学医学部附属病院 循環器・腎臓内科 医員
2009年 山本総合病院 内科 医員
2012年 三重大学医学部附属病院 循環器・腎臓内科 医員
2015年 尾鷲総合病院 内科 医員
2016年 三重大学医学部附属病院 循環器・腎臓内科 医員
2016年 三重大学医学部附属病院 臨床研修・キャリア支援センター 助教

 

三重大学大学院医学系研究科名張地域医療学講座助教 橋本修嗣 先生

「いくつになっても学び続けることができる医師という職業」

みなさん、こんにちは。
三重大学大学院医学系研究科名張地域医療学講座助教として名張市立病院総合診療科で勤務している橋本修嗣です。
私は三重県名張市で育ち、平成15年に京都大学を卒業しました。複数の診療科をローテートするスーパーローテート研修が義務化されたのが平成16年ですので、諸先輩方や同級生の多くは卒後1年目から各専門科の医師として活躍している時代でした。
大学卒業を間近に控えた時にどの診療科に進もうか悩みましたが、医師として幅広い知識を身につけてスタートを切りたいと思うようになり、当時はまだ少なかったスーパーローテートが出来る病院での初期研修を選択しました。思い返せばこの頃から、診療領域を医療者側の都合で決めるのではなく、患者さん側のニーズに合わせて柔軟に対応したいという想いが芽生えていた気がします。
初期研修を修了した後は特定の専門科に進もうと考えていたのですが、患者さんに生じたあらゆる問題をバランス良く対応しようとする総合内科の奥深さと魅力に惹かれ、総合内科の後期研修医として内科各科をさらにローテート研修しました。
総合内科の後期研修では多様な内科疾患に数多く関わる機会を得ることができました。そんな中、高齢化が進む社会に対して救急集中治療の現場から医療の意味を見つめ直してみたいという想いや、どんなに切羽詰まった状況でも冷静に対応出来る診療能力を身につけたいという考えを持つようになり、救急の道に進むことを決意しました。
救急医療に深く関わるとまた違う世界が見えてくるもので、救急疾患は患者さんの日常生活の中に生じていることを強く意識するようになりました。患者さんの生活の一番近くで必要とされる診療能力を身につけたいと思うようになった頃には、医師人生も10年が過ぎていました。さすがにこの歳になって、新しいことを1から学ぶのはいかがなものかという想いもありましたが、生まれ育った三重県で心良く研修を受け入れていただけることになり、家庭医療学の研修プログラム(新専門医制度では総合診療専門医の研修制度に移行予定)で人生2度目の後期研修に挑戦しました。総合診療という性質上、様々な診療科と関わる機会も多くありますが、三重の医療を少しでも良くしたいという想いで臨床、教育、研究に関わっておられる先生方が数多く、非常に働きやすく感じています。自分を育ててくれた街で多様な医療ニーズに恩返しできる医師生活はやりがいに溢れています。
皆さんの中には、興味を持った研修に迷いや不安を持つ方もおられるかもしれません。でも、そんな心配は不要です。医師人生はいくつになっても新しい学びにチャレンジすることができるからです。この三重で、今あなたが一番興味を持っている研修に飛び込んでみませんか?

 

橋本修嗣 M.D.

<主な資格>
日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医・指導医
日本救急医学会救急科専門医
日本内科学会総合内科専門医
日本航空医療学会航空医療医師指導者
日本DMAT隊員
JATECインストラクター
ICLSインストラクター・コースディレクター
一級小型船舶操縦士
特殊小型船舶操縦士

<略歴>
2003年3月 京都大学医学部医学科卒業
2003-2005 天理よろづ相談所病院(初期研修)
2005-2008 天理よろづ相談所病院総合内科(後期研修)
2008-2011 浦添総合病院 救命救急センター/救急総合診療科 医長
2011-2012 八戸市立市民病院 救命救急センター 内科医長
2012-2013 済生会八幡総合病院 救急医療センター 医長
2013-2016 三重大学家庭医療学研修プログラム
2016-   現職

名張市立病院総合診療科の活動はコチラhttps://www.facebook.com/nabarisoushin2017/

三重大学総合診療ネットワークの活動はコチラ
http://www.hosp.mie-u.ac.jp/soshin/

名張市立病院 谷崎 隆太郎 先生

私は三重県志摩郡(現:志摩市)生まれですが,2006 年に埼玉県の埼玉医科大学を卒業したのち,初期研修は宮城県,後期研修は岐阜県,フェローシップは東京都,と主に三重県から東側を中心に行脚して 2015 年に三重県に帰ってきました.スーパーローテート制度が始まって 3 年目の世代に当たります.
2年間の初期研修終了後は,すぐに後期研修に入るには自分はまだまだ医療の世界を知らなさすぎると心配になり,3 年目は宮城県仙台市にある長町病院という 100 床規模の小病院で一般内科を研鑽しました.その後,整形外科,麻酔科,産業医学も研修したのち卒後 4 年目から後期研修に入ったわけですが,長町病院では,自分が外来で診た患者さんが入院したら自分が担当し,退院後には再び自分の外来でフォローする,通院困難であれば自分の往診枠に入れて訪問診療としてフォローする,そしてまた入院したら自分が担当する,といった医療の「流れ」というものを経験することができました.もともと総合診療やプライマリ・ケアに興味があったのですが,この時点で正直ピンとくる総合診療の後期研修先を見つけることができず,4 年目以降の進路は救急か感染症かに絞っていました.そのどちらに行くか悩んでいたときに,沖縄で開催されたあるセミナーで感染症界の生きる伝説である青木眞先生に直接相談してみると「そりゃあ救急ですよ,救急は大切です,感染症は後からいくらでも十分学べますよ.」と即答されたため,進路を救急に決めました.他にも色々と理由はありましたが,ちょうどその頃,自分の診療水準が低いせいで助かる人を死なせていないか・・・と不安になっていたこともあり,人間の限界を知るために3次救急と集中治療を学ぶことにしました.当時放映されていた人気医療ドラマ「コードブルー」の影響がなかったとは言い切れませんが,フライトドクターも経験できる岐阜大学医学部附属病院高度救命救急センターの門を叩き3年間を過ごしました
(参考資料:http://www.gifu-u.ac.jp/images/02/ibuki/21/p12-13.pdf).その後,重症患者の集中治療は感染症で難渋することが多いという現実を目の当たりにした結果,当時まだ日本では数が少なかった臨床感染症の専門的なトレーニングを受けるため大都会東京へと向かったのでした.
以上の経緯から,現在私は教育の中心に感染症を置いていますが,そもそも患者さんには感染症以外の問題も生じるため,より幅広い問題に対応できる総合診療科に所属しています.中でも,内科疾患から小外傷・整形外科疾患,小児,産婦人科,高齢者まで,ほぼすべての領域の急性期から慢性期ケアを担当する機会があるのが総合診療であり,生物学的な問題だけでなく心理的,社会的な問題に対しても予防から治療まで関わることを生業とするのが総合診療医です.また,教育が総合診療医の重要なミッションと位置付けられており,三重大学総合診療科では初期研修医向けに県内の各病院への出張講義も行っています.この活動の狙いはもちろん,三重県内の初期研修医の臨床能力の底上げです.私も自分の得意分野の一つである感染症を軸に積極的な教育を展開していっています.
みなさんが将来どんな医師を目指すにしても,初期〜後期研修のうちに幅広く学んだことは,その後の新たなステージで知識・経験を上積みする際に強固な土台として皆さんの飛躍を支えることでしょう.私自身,もともと興味があった感染症学の専門研修を始めたのは医師7年目からでしたが,むしろ一般内科や救急という土台があったおかげで患者さんの全身管理に不安を感じることが少なく,感染症学の研修に集中することができました.当時の指導医の一人から「感染症以外を教えなくて良いから楽だ」と言われたことは強く記憶に残っています.
つまり,将来自分が専門とする分野はおそらく一生勉強していくことになるので,そうではない分野を早いうちにしっかりと学び,土台を固めておくことが極めて重要なのです.専門医資格の取得が遅れるのではないかと心配になるかもしれませんが,真の意味で臨床医の能力を担保する情報は「どの専門医を持っているか」ではなく「どこで何を学び,何ができるか」に尽きると思います.
というわけで,総合診療や感染症に興味がある人だけでなく,将来それらの分野でやっていく予定の「ない」人,ぜひ三重県での研修をオススメします.何かを始めるのに早すぎることはあっても遅すぎることはそうそうないので,まずは土台を固めに三重に来てみてはいかがでしょうか.

谷崎隆太郎 M.D.
<主な資格>
日本内科学会認定内科医
日本感染症学会感染症専門医
日本救急医学会救急科専門医
日本プライマリ・ケア連合学会認定医
国際渡航医学会 Certificate in Travel HealthTM
日本医師会産業医

<略歴>
2006年3月 埼玉医科大学医学部卒業
2006年4月 宮城厚生協会 坂総合病院 初期研修医
2008年4月宮城厚生協会 長町病院内科,坂総合病院整形外科・麻酔科,仙台錦町診療所産業医学センター
2009年4月 岐阜大学医学部附属病院 高度救命救急センター 後期研修医
2012年4月 国立国際医療研究センター 総合感染症コース/感染症内科 フェロー
2015年4月に三重県に無事帰還
(詳しい情報はコチラ→http://researchmap.jp/tannychopper/

 

三重大学医学部附属病院 鈴木 圭 先生

「挑戦と感動」

初期臨床研修医の皆さん。皆さんは、現場で医師としてキャリアを積み、まさにこれから無限の空に大きく羽ばたこうとしています。この時期が一番将来について悩む頃でしょう。
僕の研修医の頃(10年を一昔とすると、もうすぐ二昔前になってしまうほど時間が経ってしまいました)を振り返ると、たくさん経験を積んで、技術を磨き、知識を増やすんだという一番気概に満ちた時期でした。多分、今皆さんも同じような気持ちで日々過ごされていることでしょう。
「経験」・「技術」・「知識」は医師にとって大切な要素であることには違いなく、これらの能力が飛び抜けて高い超人もごく稀にいます。しかし、当時は気づきませんでしたが、この3要素は遅かれ早かれ、程度の差こそあれ次第に身についてくるんですね。むしろ、初期研修の場は多くの医師にとって、初めて社会人として世に出るところですから、この3要素以上に、「人柄」を磨き、「人脈」の構築に腐心してほしいと思います。つまり、優秀な医者になる素地として、まず、感じのいい医者になってほしいのです。
医学は、極めて不安定な自然科学の一分野です。だからこそやり甲斐があり、そこに飽くなき挑戦と感動が生まれます。皆さんはそんな素晴らしい世界に飛び込んできたわけです。是非、ともに挑戦し、感動を共有しましょう。三重県は、優秀な医者も、感じのいい医者も、たぶん、多いですし、そんな場所を提供できるところもたくさんありますよ。

https://www.hosp.mie-u.ac.jp/section/shinryo/kansenshonaika/staff/

事務局より
人柄と人脈・・・
・・・
春の日差しのように
ふんわりと、心にしみるメッセージですね。。
三重の宝、世界の鈴木先生です。

 

三重大学医学部附属病院 川本 英嗣先生

指導医が医学生や研修医にどれだけ自分の専門科の「やりがい」や「良いロールモデル」を提示できたかが、その後の医学生や研修医の進路に最も影響を与えているという研究結果があります。ここでは将来皆さんにぜひ救急医になってもらいたいので、実際に私がどのように救急医のやりがいを知り、ロールモデルと出会ったのか、お話ししたいと思います。

私は平成16年に富山大学を卒業しました。当時はすべての科をローテートするスーパーローテート研修が始まったばかりで、私も含めて多くの医学生は大学で研修を行わず、まず市中病院にでて、臨床を学ぼうとする医学生が多かったように思います。私は生まれが三重県津市でしたので、東海地方の市中病院に複数応募し、マッチングで名古屋にある中部ろうさい病院で働くことになりました。そこでは1ヶ月に数回の当直があり1回の当直で10~20名くらいの軽症から中等症のwalk in 患者および、救急車で運ばれる重症患者(AAA rupture、AMI、脳梗塞など)を見ました。中部ろうさい病院は救急の初期対応を1,2年目の初期研修医で行い、必要に応じて3年目以上の後期研修医、各科専門医にコンサルトするシステムになっていました。下手なコンサルトをすると専門医や先輩にこっぴどく怒られるので当時は救急は大嫌いでした。
ある日、滅多に来ない交通外傷による出血性ショック・重症多発外傷患者がERに運ばれてきました。もちろん初期研修医の私はどうしたら良いかわからず右往左往していましたが、そんな混乱した現場にさっと現れて気管挿管して胸腔ドレーンを入れ、外科医と共に手術室に患者を運んでいったのが麻酔科医(私のロールモデルとなった医師)でした。そんな先輩麻酔科医をみて自分も同じように救急に対応できるような麻酔科医なりたいと考え、私は救急・麻酔専門医を目指しました。私の麻酔科研修は充実していたと思います。毎日心から尊敬する1つ上の先輩と一緒に話ができ「やりがい」について教えてもらえましたし、その先輩は私にどのような麻酔科医になるべきかロールモデルも提示してくれました。私の初期研修を一言で現すなら優秀な指導者に恵まれたことだと思います。ただし、最初にあこがれた多発外傷、出血性ショックを恐れずに対応できる救急・麻酔科医師になるためには、3次対応の必要な重症患者数を多く受け入れる、いわゆる大学のような3次救命センターで臨床を学びたいと考え、数年間の麻酔科研修ののち、聖マリアンナ医科大学救命救急センターで多発外傷の研修を受けることにしました。日々外傷患者の対応に追われ、病院で寝泊まりしていたある日、三重大学の教授に新たに赴任された今井教授が講演のため聖マリアンナ医科大学に来院し、お話しをさせていただく機会を得ました。そこで私が三重県出身だと話すと「ぜひ一緒に三重で救急をやらないか、そして救急の研究もしたら良い」とお話しをいただき、現在は臨床研究医を目指して三重大学救命救急センターで日々精進しています。
私は麻酔・集中治療・救急を専門とする医師ですが、まさに過去の研究結果が示すように私の進路を決めたのは良いロールモデルの先生に出会えたのがきっかけであり、その後の成長も優秀な医師らに支えられたと確信しています。
皆さんはどこで研修したら良いのか悩んでいると思います。実は研修先は大学でも市中病院でも何処でも良いのです(もちろん都会でも田舎でもそんなことは重要ではありません)。重要なのは職場で自分の尊敬できるロールモデルの医師を早く見つけることです。そのような医師を見つけることができれば、皆さんの医師としての進路は直ぐに決定されますし、目標が明確化されるために素晴らしい医師になるのも早いでしょう。
私は三重大学で働いて数年経ちますが、三重大学そして三重の市中病院にはそのような優れた指導医がたくさんいることを知っています。ぜひ三重で唯一無二の指導医と出会って下さい。

ご紹介(敬称略)

川本英嗣 M.D., Ph.D.
日本救急医学会 専門医
日本麻酔科学会 指導医
現在、今井教授と島岡教授の立ち上げた三重大学地域災害医療リーダー育成センターにて、臨床研究医を目指して研究に取り組んでいます。

http://www.medic.mie-u.ac.jp/molpath/ps/index.html

ご経歴
2004.04~2006.03 中部ろうさい病院 初期臨床研修医
2006.04~2009.06 中部ろうさい病院 麻酔科・集中治療 医員
2009.07~2012.03 聖マリアンナ医科大学 救急医学 助教
2012.04~ 三重大学医学部附属病院  救命救急センター 助教
2013.05~ 三重大学災害救急医療・高度教育研究センター 研究員 (併任)
2016.12~ 三重大学地域災害医療リーダー育成センター 副センター長(併任)

事務局より
Mプロで、先生の指導を受けた研修医さんからも
「川本先生にあたたかく指導をしてもらいました。やってみる?と、
新しい挑戦もさせてもらったんですよー」( ´¬`)ノ
っと感想を頂いております。
皆さん、先生の懐に飛び込んで、たくさん指導してもらって
実りある研修を重ねてくださいねー。

 

 

松阪中央総合病院 大澤 一郎先生

「革命がおきた医師の評価」